小規模オフィスや拠点のルーターとして広く導入されてきた「Cisco C1111」は、型番ごとにEOL(製品ライフサイクル終了)の日程が設定されています。C1111-4P/8PなどのEthernetモデル、LTE内蔵モデル、Wi-Fi搭載モデルでは販売終了日とサポート終了日が異なるため、機器ラベル上の型番を確認することが重要です。本記事では、EOL・EoSの意味、型番別スケジュール、運用上のリスク、移行計画、代替候補となるC1121・Catalyst 8000シリーズ、Cisco 8000 Secure Routerシリーズの選び方までを解説します。

まず結論を先にまとめると、押さえるべき点は以下の3つです。

  1. C1111-4P/C1111-8P/C1111X-8P(-DNA型番を含む)のCisco最終受注日は2026年7月28日、サポート完全終了日は2031年7月31日。LTE内蔵・Wi-Fi搭載モデルには別のEOL通知と日程があります
  2. 通常のソフトウェア保守は2027年7月28日、計画された脆弱性・セキュリティ対応は2029年7月27日に終了し、その後はセキュリティ・保守・調達リスクが高まります
  3. 移行先は、内蔵LANスイッチなど現行構成を維持しやすいCisco公式移行先のC1121系と、性能・拡張性を重視するCatalyst 8200シリーズ、Cisco8100 Secure Routerシリーズを要件に応じて比較します

1. EOL・EoSとは?意味と違いを整理

はじめに用語を整理します。Cisco製品のライフサイクルでは、主に次の3つの日付が重要です。

EOL (End-of-Life)

製品のライフサイクル終了に関する一連のプロセスの総称。メーカーが「EOLアナウンス(End-of-Life Announcement:発表)」を行うと、以降の販売終了・サポート終了の日程が確定します

EoS(End-of-Sale:販売終了日)

Ciscoの販売チャネルを通じて注文できる最終日。この日を過ぎるとCiscoへの新規注文はできませんが、販売店の流通在庫が残る場合があります

LDoS(Last Date of Support:サポート完全終了日)

保守契約に基づくサポートも含め、すべてのサービスが終了する日。以降、製品は廃止(obsolete)扱いになります

重要なのは、EoS=即「使えなくなる」ではないという点です。一方で、EoS以降はCiscoへの新規注文ができなくなり、流通在庫も次第に減少します。また契約中の保守をうっかり失効させてしまった場合、再加入不可となる点も気を付けるべきポイントです。LDoSに向けてソフトウェア保守、セキュリティ対応、契約更新、サポートが段階的に終了するため、計画的な対応が必要です。

2. Cisco C1111(ISR 1111シリーズ)とは

C1111は、Cisco 1000シリーズ サービス統合型ルータ(ISR 1000)の中核モデルのひとつで、デュアルGigabit Ethernet WANを備えた小規模拠点向けルーターです。主な特長は以下のとおりです。

  • 2つのGE WANポートと、4ポート(C1111-4P)または8ポート(C1111-8P)のLANスイッチを内蔵
  • Cisco公式データシートでは、Autonomous Mode・マルチトンネル・IMIX条件のIPsecスループットはC111x-4Pが370Mbps、C111x-8Pが468Mbps(IOS XE 17.9、双方向の参考値)
  • 実績豊富なCisco IOS XEを搭載し、SD-WANにも対応
  • LTE内蔵モデルやWi-Fi搭載モデル、Cisco DNAサブスクリプション(Cisco DNA Subscription)付き構成(-DNA型番)など多彩なバリエーション
  • ファンレス・小型筐体で執務スペースにも設置しやすい

ルーター・スイッチ・(モデルによっては)無線APを1台に集約できるオールインワン性が、中小企業や拠点ネットワークで支持されてきた理由です。

3. C1111のEOLスケジュール【型番別・2026年最新】

Ciscoは、C1111のうちEthernetモデル5型番について、2025年7月28日にEOLを発表しました。以下は「Cisco ISR 1111 Series Ethernet Routers」通知に記載された正式なマイルストーンです(2026年3月3日更新版)。

マイルストーン内容日付
EOL発表日販売終了・サポート終了日程の告知2025年7月28日
販売終了日(EoS)Ciscoの販売チャネルを通じた最終受注日2026年7月28日
最終出荷日Ciscoに指定できる最終出荷日2026年10月27日
ソフトウェア保守終了通常の保守リリース・バグ修正を提供し得る最終日2027年7月28日
脆弱性・セキュリティ対応終了計画されたセキュリティ修正を提供し得る最終日2029年7月27日
新規保守契約の受付終了未契約機器を新規契約へ追加できる最終日2027年7月28日
保守契約更新終了既存の保守契約を延長・更新できる最終日2030年10月26日
サポート完全終了(LDoS)適用可能なすべてのサポートが終了し、製品が廃止扱いになる日2031年7月31日
対象型番:C1111-4P/C1111-4P-DNA/C1111-8P/C1111-8P-DNA/C1111X-8P

上記5型番の最終サポートソフトウェアリリース:Cisco IOS XE 17.18

重要

上記の日程は5型番にのみ適用されます。「C1111」という製品名だけで判断せず、機器ラベルや管理台帳の完全なPIDを確認してください。

LTE内蔵モデル

C1111-4PLTELA、C1111-8PLTELAなどは別通知の対象で、EoSは2025年1月30日、LDoSは2030年1月31日です。

Wi-Fi搭載モデル

C1111-4PWQ/8PWQは別通知の対象で、EoSは2023年5月9日、LDoSは2028年5月31日です。LTE・Wi-Fiの組み合わせや地域コードでPIDが細分化されるため、必ず公式通知の対象型番表と照合してください。

最新のEOL情報の確認方法

Cisco公式サイトの「End-of-Life and End-of-Sale Notices」で確認できます。同じC1111でも、LTE・Wi-Fi・地域コード・DNA構成によって通知と日程が異なります。型番単位で通知が更新される場合もあるため、公開時・更新計画策定時には最新版をご確認ください。自社での確認が難しい場合は、保有機器のPID一覧をもとに弊社でお調べすることも可能です。

EOL通知はC1111に限りません。ISR 900シリーズや、ISR1100/ISR1100Xの一部製品についても販売終了が発表されています。複数シリーズを併用している場合は、製品シリーズ名ではなくPID単位で棚卸しし、Cisco公式のEOL通知一覧と照合することをおすすめします。

C1111ほかCisco ISRシリーズの在庫状況、型番別EOL確認、代替機の選定については、弊社までお問い合わせください。

4. EOLを放置するリスク――ビジネスへの影響

EOLを迎えた機器を計画なく使い続けると、次の3つのリスクが徐々に高まります。

① セキュリティリスクの増加

通常のソフトウェア保守リリース・バグ修正を提供し得る期限は2027年7月28日、計画された脆弱性・セキュリティ修正を提供し得る期限は2029年7月27日です。その後は新たな脆弱性に対する修正を受けられない可能性が高まり、とくにインターネットに直接接続するWANルーターではリスク評価と代替策が重要になります

② 運用・保守のリスク

EoS後はCiscoへの新品注文ができず、販売店の流通在庫も次第に減少します。保守未加入機器を新規契約へ追加できるのは2027年7月28日まで、既存契約を更新できるのは2030年10月26日までです。故障交換に備え、保守契約と予備機の確保状況を確認してください。なお既存契約中の機器をEoS後に更新し忘れが発生した場合は、保守が再加入できない点も要注意となります。

③ コストの集中

対応を先送りするほど、複数拠点の同時更新が必要になり、機器購入・設定・切替作業のコストが短期間に集中します。またシスコのポリシーにより、保守の価格も以下の通り値上がりが発生します。(26年9月現在)

  • EoS後12ヶ月経過した製品の保守価格:約15%値上げ
  • EoS後36ヶ月経過した製品の保守価格:約25%値上げ

EoSを迎えても、機器が直ちに停止するわけではありません。有効な保守契約があり、各マイルストーンの条件を満たす期間はメーカーサポートを利用できます。継続利用する場合も、セキュリティ対応終了日とLDoSを基準に移行期限を設定してください。

5. 移行戦略の立て方:4ステップ

拠点数が多いほど移行には時間がかかります。次の4ステップで計画するとダウンタイムとコストを抑えられます。

① 棚卸し

保有するC1111/ISR系機器の型番・設置拠点・保守契約状態を一覧化する(-DNA型番のDNAサブスクリプション期限もあわせて確認)

② 優先順位付け

トラフィックの多い拠点、保守未加入の機器、老朽化が進んだ機器から優先的に移行する

③ 移行先の選定と検証

後述の選定ガイドを参考に移行先を決め、1拠点で先行導入して設定テンプレートを作る。切替は業務影響の少ない時間帯に行い、旧機を一定期間並行稼働・即時切り戻しできる体制にするとダウンタイムを最小化できます

④段階展開

機器調達のリードタイムを見込んで発注し、拠点ごとに順次展開する。並行して既存機の予備機(新品・中古)を確保しておくと安心です

C1111の中古品を検討する場合は、ライセンスとメーカー保守契約の取り扱いに注意が必要です。ライセンスの利用権やメーカー保守契約は、中古機の譲渡に伴って自動的に引き継がれるものではありません。また、スマートライセンス対応機器では、前所有者のCisco Smart Software Manager(CSSM)アカウントとの紐づけが解除されていることを確認する必要があります。解除状況を確認できない場合、購入後にライセンスを正常に利用できない可能性があるため、C1111からの移行では新品の後継機を基本に検討することをおすすめします。

6. 代替製品の選び方:C1121、Catalyst 8200、Cisco8100を比較

Cisco公式EOL通知が、今回の対象5型番に対する移行先として案内しているのは、同じISR 1000シリーズのC1121系です。対応関係は次のとおりです。

現行機(EoS対象)Cisco公式の移行先補足
C1111-4PC1121-4P―
C1111-8PC1121-8P―
C1111X-8PC1121X-8P―
C1111-4P-DNA/C1111-8P-DNAC1121X-8PCisco DNAサブスクリプションは別途購入

2026年7月28日時点で、ベースモデルのC1121-4P/C1121-8P/C1121X-8Pについて正式なEOL通知は確認されていません。CiscoがC1111の公式移行先として指定しているため、内蔵LANスイッチや既存構成を維持したい場合には有力な選択肢です。一方、将来の増速、SD-WAN、5G、モジュール拡張、製品世代の統一を重視する場合は、Catalyst 8200やCisco8100シリーズもあわせて比較してください。C1121の残存ライフを断定せず、導入時点の最新EOL情報と想定利用年数に基づいて判断することが重要です。

Catalyst 8000シリーズは、Ciscoの現行WANエッジ製品群です。C1111クラスの小規模拠点ではC8200L-1N-4Tが比較対象になりますが、必要なIPsec性能、セキュリティ機能、DRAM、拡張モジュール、LAN収容、騒音、ライセンスを確認したうえで、C8200-1N-4Tを含めて選定してください。

一方、Cisco8100シリーズはSD-WANの要否で選択すべき型番が決まってきます。SD-WANの機能を利用する場合は、末尾が「1」の型番(C8131、C8151、 C8161)を選択する必要があり、従来の拠点間VPNやシンプルなルーティングで十分であれば、安価な C8130 や C8140 が選択肢になります。またSFP+(10G光)ポートが必要な場合は、C8200シリーズも選択肢に入ってきます。

ライセンスの構成の仕方次第では、Catalyst 8000シリーズよりもコストが抑えられるのもこのシリーズのポイントとなります。

他のシリーズと比較してユニークな点は、Flexポートと呼ばれるWANとしてもLANとしても設定できるポートも搭載されており、更に柔軟な設計が可能となっております。

項目C1111-4PC1121-4PC8200L-1N-4TC8130-G2
位置づけ最終受注日:2026年7月28日C1111の公式移行先(ベースPIDのEOL通知は未確認)小~中規模拠点向け現行モデル小規模拠点向け現行モデル
WANポート2×GE WAN(1×RJ45、1×RJ45/SFPコンボ)2×GE WAN(1×RJ45、1×RJ45/SFPコンボ)内蔵4ポート(SFP×2+RJ45×2)1GE RJ45× 1
 1GE RJ45 / SFP コンボ × 1
LANスイッチ4ポート内蔵4ポート内蔵(8ポートモデル、PoEオプションあり)非搭載(対応NIMで拡張可能)1GE RJ45× 2
Flexポート
(L2/L3可変)
–––1GE RJ45× 2
IPsecスループット(Autonomous Mode・IMIX参考値)370Mbps370Mbps400Mbps1.0Gbps
拡張性固定構成(LTE/Wi-Fi搭載PIDは別EOL日程)固定構成中心(LTE/Wi-Fi搭載モデルあり)1 NIM/1 PIM、5Gプラガブル対応固定構成
OSCisco IOS XECisco IOS XECisco IOS XECisco IOS XE

※IPsec値は比較条件をそろえるため、Cisco公式データシートのAutonomous Mode・IMIX値を記載しています。(C8130-G2はiMix値非公表のため、想定される計算値となります)ISR 1000側はIOS XE 17.9・双方向・マルチトンネルの値です。実効性能はパケットサイズ、機能、ライセンス、設定、ソフトウェアバージョンにより変動します。C8200L/C8200の音圧は両モデルとも通常54dBA、最大69dBAとされるため、執務スペースへ設置する場合は騒音・ラック・電源条件も確認してください。

選定の目安

C1121を選ぶケース

故障交換や拠点追加で、内蔵LANスイッチ・PoEを含む既存構成を大きく変えず、移行作業や設定変更を抑えたい場合。導入前にベースPIDとWi-Fi/LTE搭載PIDを区別し、最新EOL情報を確認します。

Catalyst 8200L/8200を選ぶケース

現行WANエッジプラットフォームへ統一し、SD-WAN化、性能向上、5GやNIM/PIMによる拡張を計画する場合。C8200LとC8200では性能、メモリ、オンボックスセキュリティ機能が異なるため要件を照合します。

C8200L/C8200は4つのEthernet WANポートを備えますが、C1111のようなLANスイッチは内蔵していません。PCやIP電話を直収していた拠点では、対応するEthernet Switch NIMの追加、または既設・外付けスイッチへの収容を検討してください。Catalyst 8200 SeriesはCisco DNA Softwareサブスクリプション、Enterprise Agreement、またはMSLAとの組み合わせで提供されるため、ハードウェアだけでなく必要なソフトウェア階層と契約期間も見積条件に含める必要があります。

Catalyst 8200シリーズの在庫、対応NIM/PIM、ライセンスを含む構成確認については、弊社までお問い合わせください。

C8100を選ぶケース

最新のセキュアネットワーキングプロセッサを搭載した最新鋭モデルのため、今後長期にわたりリプレースの心配をせず利用し続けられます。またコンパクトなファンレス・デスクトップ形状でありながら、WAN、LANに加え、用途に応じて柔軟に変更できるFlexポートを内蔵し、計6ポート(1GE×6)の柔軟な接続が可能です。更にC8100シリーズは、従来のCatalyst 8000シリーズやISRで必要だった複雑な「帯域幅ティア(Bandwidth Tier)ライセンス」や「HSEC(高暗号化)ライセンス」の追加が不要で、Routing AdvantageライセンスやWAN Advantageライセンスの追加のみで初期からハードウェア性能をフル発揮できるという大きなメリットがあり、ライセンス構成によっては大きなコストメリットが期待できます。

まとめ

  • EOL(End-of-Life)は製品ライフサイクル終了のプロセス全体、EoS(End-of-Sale)は販売終了日を指す
  • 2026年7月28日が最終受注日となるのはC1111-4P/4P-DNA/8P/8P-DNA/C1111X-8P。LTE内蔵・Wi-Fi搭載モデルは別通知・別日程
  • 通常のソフトウェア保守は2027年7月28日、計画されたセキュリティ対応は2029年7月27日、サポートは2031年7月31日に終了するため、棚卸し→優先順位付け→検証→段階展開で移行する
  • 移行先は、既存構成との互換性を重視する場合はCisco公式移行先のC1121系、性能・拡張性・プラットフォーム統一を重視する場合はCatalyst 8200シリーズ、最新鋭のセキュアネットワーキングプロセッサを搭載したモデルを選ぶならC8100シリーズを比較し、想定利用年数と最新EOL情報に基づいて選ぶ

アイティープロダクトは、シスコ正規パートナーとして新品・中古のネットワーク機器を取り扱っています。「自社の構成ならどのモデルが適切か」「移行スケジュールをどう組むか」など、お気軽にご相談ください。

型番別のEOL確認、移行先の比較、見積・導入スケジュールのご相談は、アイティープロダクトまでお問い合わせください。

※本記事の情報は2026年9月時点のCisco公式情報に基づきます。販売終了・サポート終了日程は型番単位で異なり、通知が更新される場合があります。実際の更新計画・調達時には最新のCisco公式EOL通知をご確認ください。

参考資料(出典)

– Cisco「End-of-Sale and End-of-Life Announcement for the Cisco ISR 1111 Series Ethernet Routers」(2026年3月3日更新) https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/routers/1000-series-integrated-services-routers-isr/isr-1111-series-ethernet-routers-eol.html

– Cisco「End-of-Sale and End-of-Life Announcement for the Cisco Select ISR 1000 Routers with Integrated CAT 6 LTE」 https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/routers/1000-series-integrated-services-routers-isr/select-isr-1000-routers-integrated-cat-6-lte-eol.html

– Cisco「End-of-Sale and End-of-Life Announcement for the Cisco Select Cisco ISR1100 Products」(EOL14898) https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/routers/1000-series-integrated-services-routers-isr/select-isr1100-product-eol.pdf

– Cisco「End-of-Life and End-of-Sale Notices(ISR 1000シリーズ)」 https://www.cisco.com/c/en/us/products/routers/1000-series-integrated-services-routers-isr/eos-eol-notice-listing.html

– Cisco「End-of-Sale and End-of-Life Announcement for the Cisco ISR1100 and ISR1100X Series Routers」 https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/routers/1000-series-integrated-services-routers-isr/isr1100-isr1100x-series-routers-eol.html

– Cisco「Cisco 1000 Series Integrated Services Routers Data Sheet」 https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/routers/1000-series-integrated-services-routers-isr/datasheet-c78-739512.html

– Cisco「Cisco Catalyst 8200 Series Edge Platforms Data Sheet」 https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/routers/catalyst-8200-series-edge-platforms/nb-06-cat8200-series-edge-plat-ds-cte-en.html