長年、多くの中小企業で「標準機」として広く導入されてきたネットワークスイッチ Cisco Catalyst(カタリスト) 1000シリーズ(C1000)が、EoS(イーオーエス)となりました。
社内機器の保守切れやオフィスの拡張に伴い、後継機へのリプレイスを検討する情シス担当者が増えています。シスコが公式に示す後継機は「Catalyst 1300シリーズ」で、同世代の「Catalyst 1200シリーズ」、従来のIOSによる運用を続けたい場合の上位の選択肢として「Catalyst 9200CXシリーズ」が主な検討候補になりますが、この2つは名前こそ同じ「Catalyst」であるものの、OS(中身のシステム)やライセンス体系、コスト構造が大きく異なります。
「型番が近いから」という理由だけで選定すると、「従来の運用方法が通用しない」「予期せぬランニングコストが発生した」といった問題に繋がりかねません。
この記事では、小規模拠点を管理する情シス担当者に向けて、2つの後継機候補の違いを「操作方法」「費用構造」「サポート体制」の3つの視点から客観的に比較・解説します。あわせて、その前提となるC1000のEOL(イーオーエル)日程と、公式の後継機への型番対応も整理します。
まず結論を先にまとめると、押さえておくべき点は以下の3つです。
- C1000は2025年4月30日に販売終了(EoS)。新規保守契約の受付は2026年4月30日に終了済みで、サポートは2030年4月30日に完全終了します
- Cisco公式の後継機はCatalyst 1300シリーズで、型番はほぼ1対1で対応します
- 従来のCLIによる運用やCisco TAC(タック/Technical Assistance Center)のサポートを続けたいなら、公式の後継ではないもののCatalyst 9200CXシリーズが上位の選択肢です
目次
C1000 EOLの概要と影響
C1000シリーズのEOLとは
EOL(End-of-Life)は製品のライフサイクル終了に関する一連のプロセスの総称で、EoS(End-of-Sale)は販売終了日、LDoS(エルドス/Last Date of Support)はサポートが完全に終了する日を指します。Ciscoは2024年4月30日にC1000のEOLを発表しており、日程は次のとおりです(Cisco公式EOL通知「EOL15390 – Amended」、2024年11月22日更新版より)。
| 項目 | 内容 | 日付 |
| EOL発表日 | 販売終了・サポート終了の日程を一般に告知した日 | 2024年4月30日 |
| 販売終了日(EoS) | Ciscoの販売チャネルを通じて注文できる最終日 | 2025年4月30日 |
| 最終出荷日 | Ciscoに指定できる最終の出荷日 | 2025年7月30日 |
| ソフトウェア保守リリース終了 | 保守リリース・バグ修正を提供し得る最終日 | 2026年4月30日 ※終了済み |
| 新規保守契約の受付終了 | 保守契約の無い機器を新たに契約へ追加できる最終日 | 2026年4月30日 ※終了済み |
| 脆弱性・セキュリティ対応終了 | 計画された脆弱性修正を提供し得る最終日 | 2028年4月30日 |
| 保守契約の更新終了 | 既存の保守契約を延長・更新できる最終日 | 2029年7月29日 |
| サポート完全終了(LDoS) | 保守契約・保証に基づくサポートが終了する日 | 2030年4月30日 |
EOLがもたらす影響
- 新しくメーカー保守を付けられない: 新規保守契約の受付は2026年4月30日に終了しました。有効な保守契約がある機器は、2030年4月30日までサポートを受けられます
- バグ修正版のソフトウェアが出ない: ソフトウェア保守リリースは2026年4月30日に終了しました
- 2028年4月30日以降は脆弱性も修正されない
最新の情報は、Cisco公式のEOL通知などの公式資料でご確認ください。EOL機器の更改の進め方は、Cisco Catalyst 3850のEOLと後継機を解説したコラムも参考になります。
公式の後継機はC1300|型番対応表
Cisco公式EOL通知の「Table 2」で置き換え先として示されているのは、Catalyst 1300シリーズのみです。Catalyst 1200シリーズや9200CXシリーズは、この表には記載されていません。主な型番の対応の一覧は次のとおりです。
| C1000の型番(販売終了) | 公式の置き換え先(補足) |
| C1000-8T-2G-L | C1300-8T-E-2G ※置き換え先は外部電源(Ext PS)モデル |
| C1000-8T-E-2G-L | C1300-8T-E-2G |
| C1000-8P-2G-L | C1300-8P-E-2G ※置き換え先は外部電源(Ext PS)モデル |
| C1000-8P-E-2G-L | C1300-8P-E-2G |
| C1000-8FP-2G-L | C1300-8FP-2G |
| C1000-8FP-E-2G-L | C1300-8FP-2G |
| C1000-16T-2G-L | C1300-16T-2G |
| C1000-16T-E-2G-L | C1300-16T-2G |
| C1000-16P-2G-L | C1300-16P-2G |
| C1000-16P-E-2G-L | C1300-16P-2G |
| C1000-16FP-2G-L | C1300-16FP-2G |
| C1000-24T-4G-L | C1300-24T-4G |
| C1000-24P-4G-L | C1300-24P-4G |
| C1000-24FP-4G-L | C1300-24FP-4G |
| C1000-24T-4X-L | C1300-24T-4X |
| C1000-24P-4X-L | C1300-24P-4X |
| C1000-24FP-4X-L | C1300-24FP-4X |
| C1000-48T-4G-L | C1300-48T-4G |
| C1000-48P-4G-L | C1300-48P-4G |
| C1000-48FP-4G-L | C1300-48FP-4G |
| C1000-48T-4X-L | C1300-48T-4X |
| C1000-48P-4X-L | C1300-48P-4X |
| C1000-48FP-4X-L | C1300-48FP-4X |
| C1000-24PP-4G-L C1000-48PP-4G-L | 後継なし ※部分PoE(Partial PoE)モデル |
| C1000FE-24T-4G-L C1000FE-24P-4G-L C1000FE-48T-4G-L C1000FE-48P-4G-L | 後継なし ※Fast Ethernetモデル |
後継なしのモデルは、必要なポート数とPoE給電量からC1300の型番を選び直します。
C1000 EOL後の選択肢
ここからは、後継機候補となる2系統の違いを比較します。Cisco製品全体の選び方は、2026年最新版のCisco製品比較ガイドもあわせてご覧ください。
1. 後継機2大候補の比較概要
まずは両シリーズの主な違いを一覧で確認します。
| 項目 | Catalyst 1200 / 1300 シリーズ | Catalyst 9200CX シリーズ |
| C1000との関係 | 1300がCisco公式の後継機 ※1200は公式の置き換え先ではない | 公式の後継機ではない(上位の選択肢) |
| 主なターゲット | 中小企業(SMB)、小規模拠点・オフィス | 大企業、官公庁、ミッションクリティカルな拠点 |
| 主な特徴 | コストパフォーマンスと管理のしやすさ | 堅牢性と高度な機能、従来運用の踏襲 |
| 搭載OS(内部システム) | Customized Linux OS(旧SMB製品の系譜) | Cisco IOS-XE(アイオーエス エックスイー/王道のエンタープライズOS) |
| 設定・管理方法 | Web GUIメイン(ブラウザから操作) | CLIメイン(従来のコマンド入力) |
| ライセンス体系 | 永続(ライセンス購入不要) | サブスクリプション初回購入必須(Cisco Catalyst/Cisco DNA) |
| サポート窓口 | スモールビジネス専用窓口 | Cisco TAC(通常のエンタープライズ窓口) |
2. OS(内部システム)の違いによる運用への影響
これまで使われていたC1000シリーズは、シスコの伝統的な「IOS」を搭載しており、CLIにてテキストコマンドを打ち込んで設定する運用が一般的でした。後継機を選ぶ上で、このOSの違いが運用に最も影響を与えます。
Catalyst 1200 / 1300 シリーズ:【Web GUIによる容易な管理】
名前に「Catalyst」を冠していますが、中身は旧Cisco Business(SMB)シリーズの流れを汲むLinuxベースのOSへと変更されています。
設定や管理は、WEBブラウザの画面からマウス操作で行う「Web GUI」が標準です。コマンド入力に不慣れな担当者でも直感的に操作できるメリットがあります。
※注意点:CLI(コマンド入力)も用意されていますが、従来のIOSとはコマンド体系が異なります。過去に作成した「設定コマンドのメモ(流用スクリプト)」はそのまま流用できません。
Catalyst 9200CX シリーズ:【従来の運用を完全踏襲】
こちらはC1000の公式の後継機ではありませんが、上位に位置するモデルで、シスコの主力OSである「IOS-XE」を搭載しています。
従来のCatalystと全く同じコマンド体系がそのまま通るため、「これまでの設定方法や運用手順を変えたくない」「過去の設計書や運用手順書をそのまま流用したい」という場合は、こちらを選ぶ必要があります。
3. ライセンス体系と費用構造の違い
シスコ製品を選定する上で、予算(コスト)の組み立て方に最も関わるポイントです。
Catalyst 1200 / 1300 シリーズ:【従来の「ライセンス購入不要」モデル】
C1000と同様に、「最初にハードウェアの代金を支払えば、それ以降は追加費用がかからない」永続ライセンスの仕組みです。
クラウド経由での複雑なライセンス登録手続き(Smart Licensing)も原則不要なため、導入の手間がかかりません。「ライセンス費用を省きたい」「とにかく初期費用を低く抑えたい」という中小企業に適しています。
Catalyst 9200CX シリーズ:【本体+サブスクリプションが必須】
ハードウェア本体の費用に加え、「Cisco Catalystソフトウェアサブスクリプション」または「Cisco DNAソフトウェアサブスクリプション」と呼ばれるライセンスを(3年/5年/7年の期間で)初回は必ずセットで購入するルールになっています(永続のネットワークライセンス「Network Essentials/Network Advantage」と組み合わせて購入。※2026年10月時点)。
期間満了時の更新については任意となりますが、初期費用が本体だけではなく、ライセンス費用も見込む必要があります。また基本的には保守加入も必須となります。
4. 機能面の違い(L3機能・スタック・セキュリティ)
「Web画面で設定できれば機能はどちらでもいい」と考えがちですが、ネットワークの規模が大きくなったり、セキュリティを強化したりする段階で、製品の「実力差」がはっきりと現れます。
① ルーティング(L3機能)の「規模感」が違う
社内のネットワーク(VLAN/ブイラン)を分ける際、スイッチ自身に経路案内をさせる「L3機能」の対応レベルが異なります。
Catalyst 1300: 静的設定(スタティックルーティング)に加え、動的ルーティングである「RIPv2」まで対応しています。小規模拠点の拠点内ルーティングであれば十分な機能を持っていますが、より大規模で標準的な動的プロトコルである「OSPF」には、一部の上位特殊モデル(C1300Xなど)を除き原則非対応です。
Catalyst 9200CX: 大企業でも標準的に使われる「OSPF」や「EIGRP」などの本格的な動的ルーティングに対応しています(OSPFはNetwork Essentials、EIGRPなどの高度なルーティングはNetwork Advantageのライセンスで利用でき、ライセンス段階で利用範囲が異なります)。他拠点のコアスイッチや上位ルーターと密に連携し、万が一の回線切断時にも一瞬で自動迂回するような、止まらないネットワークを構築できます。
② スタック機能の有無
スイッチを縦に何台か並べて使う際、それらを専用ケーブルで繋いで「中身を完全に1台のスイッチ」として扱う技術をスタック機能と呼びます。
- Catalyst 1300:【10Gアップリンクモデル限定で最大8台対応】仕様上は最大8台のスタックに対応していますが、すべてのモデルで使えるわけではありません。スタック機能がサポートされるのは、アップリンクポートが「10G」に対応しているモデル(型番の末尾が -4X などの製品)のみです。コストを抑えるために1Gアップリンクモデル(型番の末尾が -4G の製品)を選定してしまうと、物理スタックは一切組むことができません。なお、スタックは同じグループ(Family)の型番同士でのみ組めます。
- Catalyst 9200CX: C9200CXシリーズ自体は、コンパクト設計のため物理的なスタック(StackWise/スタックワイズ)には非対応です(※1Uサイズの通常のC9200/9200Lは対応)。ここがC1000で複数台をまとめて管理する機能(Single IP Management:最大8台を1つのIPアドレスで管理)を使っていた方にとって最大の注意点となります。台数をまとめて1台として管理したい場合は、運用の見直しが必要です。
③ セキュリティ認証(社員以外の不正接続を防ぐ機能)
社内のLANポートに、勝手に私物のPCや知らない端末を接続しても通信させないようにする「802.1X認証(検疫ネットワーク)」の対応レベルが違います。
- Catalyst 1300: 基本的なMACアドレス認証や802.1X認証(時間帯を指定した802.1X認証を含む)は可能ですが、高度なセキュリティサーバーと深く連携させた「デバイスの種類によって細かくアクセス権を変える」といった複雑な制御は苦手です。
- Catalyst 9200CX: シスコの高度なセキュリティアーキテクチャに対応しています。AES-256のMACsec(マックセック)暗号化やポリシーベースのセグメンテーションにより、端末ごとに適切なネットワークに振り分けるようなセキュリティ対策を組むことができます(利用できる機能はライセンス段階によります)。
5. 保守サポート(メーカー窓口)の違い
トラブル発生時や、設定方法が分からないときに情シス担当者を支えるサポート体制にも違いがあります。
Catalyst 1200 / 1300 シリーズ
シスコの一般的な総合窓口ではなく、「スモールビジネス専用窓口(Small Business Support)」での対応となります。平日9時〜17時(現地時間)の対応が基本となるため、「24時間365日、何が何でも数時間以内に現地に駆けつけて交換してほしい」といった高度な保守レベルを求める環境には不向きです。
一方で標準でSmall Business Support Center への 1 年間の無償アクセスと、工場返品(RTF)交換を含む制限付きライフタイム保証が付帯しているのは魅力となります。※先出しセンドバック(翌営業日の先出し交換)は有償オプションとなります。
Catalyst 9200CX シリーズ
シスコが誇るテクニカルサポート窓口「Cisco TAC」をフル活用できます。24時間体制の手厚い技術支援や迅速なパーツ配送サービスを受けることができるため、ネットワーク構成として重要な箇所に据える機器としても最適となります。
一方、保守加入は別途有償となり、基本的には加入必須です。その為、別途年間の追加コストを見込む必要があります。
移行のためのステップ
移行の際は、次の準備を順に進めます。
- 棚卸し: C1000の完全な型番、保守契約の有無、PoE給電やVLAN・複数台管理の設定内容を一覧にします
- 後継機の決定: 型番対応表と本記事の比較から、後継機を決めます
- 事前検証: Catalyst 1200 / 1300はIOSの設定を流用できないため、設定を作り直して検証します
- ライセンスの準備: 9200CXはサブスクリプションの同時購入とSmart Accountが必要です
- 予備機の確保: C1000には新規のメーカー保守を付けられないため、移行完了までは予備機を確保しておくと安心です
結論:自社環境における最適な選定基準
Catalyst 1200 / 1300 シリーズを採用すべき環境
- 難しいコマンド管理を避け、Web画面(GUI)でシンプルに設定・運用したい
- ライセンス費用(サブスク)の発生や、保守費用の発生、管理の手間を避けたい
- 社内ネットワークにおいて、高度なL3機能やガチガチの認証セキュリティまでは求めていない
- 「コストパフォーマンスを最優先し、初期費用を抑えたい」
Catalyst 9200CX シリーズを採用すべき環境
- 昔から使い慣れているシスコのコマンド(CLI)や、これまでの運用フローを変えたくない
- 企業の基幹システムや重要拠点であるため、24時間体制の手厚いサポート(Cisco TAC)が不可欠
- 将来的にネットワークの一元管理(Catalyst Centerなど)やDNAライセンスの活用を見据えている
- 「数年後の維持費も含めて、ネットワークの安定性と高いセキュリティに投資できる」
小規模拠点の一人情シス環境であれば、コスト面およびWEB GUIによる管理の容易さから、Catalyst 1200 / 1300シリーズが現実的な第一候補となるケースが多いです。しかし、既存の運用手順(CLIでのスクリプト管理など)を崩したくない場合は、十分な予算を確保した上でCatalyst 9200CXシリーズを選定するのが安全です。
オフィスの規模、将来的な拡張性、そしてご自身の運用スタイルに合わせて、最適な後継機を選択してください。
Cisco C1000のEOLに関するよくある質問
C1000の販売終了(EoS)とサポート終了はいつですか?
Cisco公式のEOL通知によると、販売終了日(EoS)は2025年4月30日、サポート完全終了日(LDoS)は2030年4月30日です。ソフトウェア保守リリースと新規保守契約の受付は2026年4月30日に、脆弱性対応は2028年4月30日に終了します。
Catalyst 1200と1300はどちらを選べばよいですか?
公式の後継機であるCatalyst 1300が基準です。Catalyst 1200のL3機能はスタティックルーティングのみで、データシートにスタックの記載もないため、それらを使わない小規模オフィス向けです。
まとめ
C1000は販売終了し、新規保守契約の受付も終了しました。公式の後継機はCatalyst 1300シリーズですが、従来の運用を続けたい場合はCatalyst 9200CXシリーズも比較して選ぶことが大切です。
実務上のポイントは次の3つです。
- 型番対応表で置き換え先と「後継なし」の型番を確認する
- 操作方法・ライセンス・サポート体制の3点で比較する
- 2028年4月30日(脆弱性対応の終了)までに移行する
早めに計画を立てて、無理のない移行を進めましょう。
当サイトでは、Cisco Catalystスイッチの機種選定、型番対応や構成の確認、ライセンス構成のご相談を承っています。メーカー保守契約のご案内も可能です。見積や在庫の確認が必要な場合は、製品ページやお問い合わせフォームをご利用ください。
※本記事は、Ciscoの公式EOL通知「End-of-Sale and End-of-Life Announcement for the Cisco Catalyst 1000 Series Switches」(EOL15390、2024年11月22日更新)、Cisco Catalyst 1000/1200/1300・1300X/9200 Series の各データシート、Cisco Catalyst 9200 Series Switches Ordering Guide等をもとに作成しています。Cisco、Catalystおよび関連する製品名は、Cisco Systems, Inc.(またはその関連会社)の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
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本記事の情報は2026年10月時点のものです。最新の在庫状況はアイティープロダクトのサイトでご確認ください。

