Cisco(シスコ)のエンタープライズ向けL3スイッチとして、長年にわたりネットワークの要を担ってきたCisco Catalyst 3850シリーズ。なかでも定番の24ポート・データ通信モデル「WS-C3850-24T-E」は、企業のコアスイッチやディストリビューションスイッチとして数多くの現場に導入されてきた製品です。

しかし、Catalyst 3850シリーズは、Cisco公式の最終サポート日(Last Date of Support)である2025年10月31日を迎えました。これにより、次世代のスタンダード機であるCisco Catalyst 9300シリーズ(C9300-24T-A)へのリプレイス、あるいは中古市場を活用した運用継続について、多くのエンジニアが対応を迫られています。

本記事では、長年親しまれた「WS-C3850-24T-E」と後継機「C9300-24T-A」のスペックを徹底比較するとともに、運用管理の大きな転換点となった従来の「RTUライセンス」と最新の「スマートライセンス(Smart Licensing)」の違い・特徴・メリットを詳しく解説します。

まず結論を先にまとめると、押さえておくべき点は以下の3つです。

  • Catalyst 3850シリーズは2025年10月31日(最終サポート日)でメーカーサポートが終了している
  • 後継はCatalyst 9300シリーズ(C9300-24T-A)で、ライセンスはRTUからスマートライセンスへ移行する
  • 予算や閉域網の事情で延命する場合は、中古活用・16.9.1未満運用・コールドスタンバイ機の確保が現実的な選択肢になる

Cisco Catalyst 3850シリーズのEOL(End of Life)とは|サポート終了の概要

EOL(End of Life)は、メーカーが製品の販売終了やサポート終了を段階的に案内するライフサイクル情報です。Cisco公式のEOL通知では、WS-C3850-24T-Eを含む対象ハードウェアについて、販売終了日が2020年10月30日、最終サポート日(Last Date of Support)が2025年10月31日と案内されています。

Ciscoのネットワーク機器は、一般的に「販売終了(EoS:End of Sale)」を起点として、その後にソフトウェア保守の終了、脆弱性・セキュリティ修正の終了、さらにハードウェアサポートの終了という複数のマイルストーンを経て段階的にサポートが縮小していきます。型番ごとに正確な日付は異なるため、ご利用中の製品については、Cisco公式のEOL通知で最新の情報を確認することをおすすめします。

EOL後に想定される主なリスクとして、まずセキュリティ面が挙げられます。最終サポート日を過ぎると、メーカーによる新たな脆弱性修正やTACサポートを前提にした運用ができなくなります。また、ハードウェア故障時にメーカーの有償保守サービス(TACサポートや代替品提供)を利用できないため、ネットワーク全体の可用性とセキュリティを維持するうえでの対応が課題となります。

ネットワーク機器をリプレイスする際は、ポート数や転送帯域といったハードウェアの基本性能の向上はもちろん重要です。しかし近年のCisco製品では、それ以上に「ソフトウェアライセンス体系の変更」が大きなポイントとなります。Catalyst 3850では購入時の機能(IP Servicesなど)が実質的に機器に紐づいて永続する運用が一般的でしたが、Cisco IOS XE 16.9.1以降では3850もSmart Licensing管理へ移行しています。後継のCatalyst 9300では、Network AdvantageなどのネットワークライセンスとCisco DNA/Catalyst Softwareのサブスクリプションを組み合わせる形が標準となるため、この違いを正しく掴むことが、長期的な運用コストの増大や構成ミスを防ぐ鍵となります。

WS-C3850-24T-E と C9300-24T-A のスペック比較表

まずは、2つの主要な24ポート・データ通信モデル(PoEなし)の基本スペックを比較します。

項目WS-C3850-24T-EC9300-24T-A
搭載OSCisco IOS-XECisco IOS-XE
ダウンリンクポート10/100/1000 Base-T × 2410/100/1000 Base-T × 24
アップリンク仕様拡張モジュール式(1G/10G選択可)拡張モジュール式(1G/10G/25G/40G選択可)
スタック帯域最大 480 Gbps最大 480 Gbps
ライセンス体系従来のRTU(使用権)ライセンス
※Cisco IOS XE 16.9.1以降はSmart Licensingへ移行
スマートライセンス
※Cisco IOS XE 17.3.2/17.4.1以降は
Smart Licensing Using Policy(SLP)に対応
ソフトウェア階層IP ServicesNetwork Advantage(永続)+ Cisco DNA/Catalyst Advantage(期間ライセンス)
メーカーサポート状況2025年10月31日にCisco公式サポート終了Cisco公式データシート掲載・サポート継続中

ハードウェア単体で見ると、C9300はアップリンクの選択肢や運用管理面が強化されており、高速化した社内LANや多端末環境を支えるのに十分なアドバンテージを備えています。一方で、アップリンクは10Gで十分という環境であれば、StackWise-480などC3850でも引けを取らない性能を持っていることがわかります。

製品紹介:WS-C3850-24T-E(従来モデル)

WS-C3850-24T-Eは、Cisco IOS-XEを搭載した代表的な固定構成型L3スイッチとして、多くの現場で採用されてきたモデルです。ダウンリンクにギガビットイーサネットを24ポート備え、PoE非対応の純粋なデータ通信用として、企業のコアスイッチやディストリビューションスイッチで広く活躍しました。

「IP Services」ライセンスにより、BGPやOSPFといった高度なルーティングプロトコルに対応しています。すでにCisco公式サポート(Last Date of Support)は終了していますが、その安定性の高さから、現在でも「実績のある枯れた構成」としてあえてこのモデルを求めるネットワーク現場は少なくありません。

製品紹介:C9300-24T-A(現行・次世代モデル)

C9300-24T-Aは、Cisco公式のEOL資料でもWS-C3850-24T-Eの後継機として案内されている定番のL3スイッチです。ソフトウェアは「Network Advantage」をベースに、購入時にCisco DNAまたはCisco Catalyst Softwareのサブスクリプションライセンスを組み合わせる形が標準となります。

スマートライセンスによるスマートな資産管理が可能なため、複数拠点のスイッチを本社で一括管理したい大中規模のインフラ環境に最適です。アップリンクの柔軟性や運用管理面も強化されており、現在の社内ネットワークに求められる拡張性に余裕をもって対応できます。

ライセンス徹底比較:従来のRTU vs 最新のスマートライセンス

今回のリプレイスで最大の変更点となるのが「ライセンスの仕組み」です。ここでは従来のRTUライセンスと、最新のスマートライセンスの違いを解説します。

従来のRTU(Right-to-Use)ライセンスとは?

Catalyst 3850などで採用されていたRTUライセンスは、「利用規約(EULA)に同意するコマンド」を実機で叩くだけで、その場で上位機能(IP Servicesなど)を有効化できる仕組みです。インターネット接続やメーカー管理サーバーとの同期が一切不要で、閉域網でも実機単体で即座にライセンス適用が完了する手軽さがありました。ただし、Catalyst 3850でもCisco IOS XE 16.9.1以降はSmart Licensingが標準となり、RTUライセンスモードは廃止されています。

最新のスマートライセンス(Smart Licensing / SLP)とは?

スマートライセンスは、Catalyst 9300シリーズで標準採用されている仕組みで、Ciscoのクラウド管理ポータル(CSSM:Cisco Smart Software Manager)を介して、企業が保有するライセンス資産を一元管理します。最新のOSでは「Smart Licensing Using Policy(SLP)」が導入され、運用がさらに洗練されています。

スマートライセンスのメリット

  1. ライセンス資産をアカウント単位で管理しやすい: 社内の「バーチャルアカウント」と呼ばれる単位でライセンスを把握でき、対応するライセンス範囲で割り当てや移行を管理しやすくなります。
  2. 購入状況・資産の一元可視化: 「どの拠点の、どの機器が、何のライセンスを消費しているか」がWebブラウザ上の管理画面(CSSM)でひと目でわかります。紙のライセンス証書を紛失するリスクや、社内監査での集計業務の手間が大きく軽減されます。
  3. オフライン(閉域網)運用にも対応: 「スマートライセンスは常時インターネット接続が必要だから、セキュリティが厳しい社内網には導入できない」というのは誤解です。最新のSLPでは、ネットワーク機器が直接インターネットに繋がっていなくても、オフラインで利用レポートを作成し、後から管理画面へアップロードして同期する安全な運用が認められています。また従来のスマートライセンスでも、SLRという方式でオフラインでの使用が可能です。

中古機器の活用で賢くネットワーク投資を保護する方法

最新のCatalyst 9300シリーズ(C9300-24T-A)へ移行すれば、パフォーマンスの大幅な向上と、スマートライセンスによる効率的な一元管理という大きな恩恵を受けられます。

その一方で、「オフライン環境のため、どうしても従来のRTUライセンス方式(実機内で完結)のまま構成を維持したい」「予算の都合上、全拠点のスイッチを一度に最新機種へリプレイスするのが難しい」といったケースも少なくありません。そうした場合には、信頼できる中古のCisco製品を活用して、既存の3850環境を延命・維持するのも賢い選択肢です。

ただし、中古製品を選ぶ際には注意点もあります。 Ciscoのスマートライセンス対応機の場合、前所有者のSmart Accountに紐づくライセンス権利をそのまま引き継げるとは限りません。ライセンス付属を前提にせず、購入前に販売元へ利用条件を確認することが重要です。

また、仮にライセンスをお持ちで筐体だけを購入する場合でも、前所有者がアカウントから製品の削除(登録解除)をしていないと、購入者側のSmart Account管理やライセンス利用状況の整理で問題が起きる可能性があります。このため購入時には、販売元が製品登録の状態を確認できるかが重要なポイントとなります。

こうしたリスクを踏まえると、C3850を中古で購入する場合は、従来のRTUライセンスで使用できるCisco IOS XE 16.9.1未満のバージョンで運用する考え方もあります。ただし、古いソフトウェアを使い続けることになるため、脆弱性や不具合のリスクもあわせて評価が必要です。さらに、メーカー公式の有償保守(Smart Net Total Careなど)は最終サポート日を過ぎると利用できず、ハードウェア故障時にTACサポートやメーカー代替品提供を受けられない点にも注意が必要です。中古での運用を検討する際は、状況に応じてコールドスタンバイ機の確保もあわせて検討しておくとよいでしょう。

「アイティープロダクト」では、C9300シリーズなどの新品の取り扱いはもちろん、メーカーサポート(EOL)を迎えたC3850シリーズをはじめとする中古品の在庫も取り揃えています。新品・中古の選定や、ライセンス・型番の選定まで、専門知識を持つスタッフがお客様の環境に最適なソリューションをご提案いたします。

Cisco Catalyst 3850のEOLに関するよくある質問(FAQ)

Catalyst 3850はいつEOLを迎えましたか?

Catalyst 3850シリーズ(WS-C3850-24T-Eを含む)の対象ハードウェアは、Cisco公式EOL通知で2025年10月31日が最終サポート日(Last Date of Support)と案内されています。型番ごとの正確な日付はCisco公式のEOL通知でご確認ください。

EOL後もそのまま使い続けられますか?

機器自体は動作しますが、メーカーによる新たな脆弱性修正や公式サポートが受けられなくなるため、脆弱性や故障時のリスクが高まります。延命する場合は中古機器やコールドスタンバイ機の確保とあわせた対応をおすすめします。

WS-C3850-24T-Eの後継機種は何ですか?

後継はCisco Catalyst 9300シリーズで、24ポート・データ通信モデルではC9300-24T-Aが該当します。ライセンス体系はスマートライセンスへ移行しています。

EOL情報はどこで確認できますか?

もっとも信頼性が高いのはCisco公式サイトのEOL通知です。製品名や型番から確認できるほか、判断に迷う場合はアイティープロダクトへご相談いただくこともできます。

まとめ

Catalyst 3850シリーズのCisco公式サポート終了は、単なる機器の入れ替えにとどまらず、RTU中心の運用からスマートライセンス中心の運用へというライセンス体系の大きな転換を伴うリプレイスです。

実務上のポイントは次の3つです。

  • 最終サポート日(2025年10月31日)を過ぎているため、セキュリティと保守の観点で移行・延命の方針を早めに固める
  • 後継機C9300-24T-Aへの移行は性能・資産管理の両面でメリットが大きいが、ライセンスはスマートライセンス前提で設計し直す
  • 予算や閉域網の事情で延命する場合は、中古活用・16.9.1未満運用・コールドスタンバイ機の確保をセットで検討する

自社の運用方針に合わせて、最適な移行・延命の方法を見極めることが重要です。


当サイトでは、Cisco Catalyst製品の選定、ライセンス・サブスクリプション構成の確認、Catalyst 3850から9300への更改検討、EOLに伴う移行支援を行っています。見積、導入条件の確認、構成検討が必要な場合は、製品ページやお問い合わせフォームをご利用ください。

※本記事は、Ciscoの公開データシートおよびEnd-of-Sale/End-of-Life公式通知をもとに作成しています。Cisco、Catalystおよび関連する製品名は、Cisco Systems, Inc.(またはその関連会社)の米国およびその他の国における商標または登録商標です。

機種選定で迷った際は、ぜひアイティープロダクトにご相談ください。新品から中古・EOL品まで幅広く在庫を取り揃えており、お客様の環境に合った最適な機種をご提案します。

本記事の情報は2026年6月時点のものです。最新の在庫状況はアイティープロダクトのサイトでご確認ください。