ネットワークルータはコンピュータを外部のネットワークに接続するのに欠かせない設備です。ネットワークルータは電気で動いているため、コンセントを使用して給電しなければなりません。
しかし、設置場所によってはコンセントにつなぐのが難しい場合もあります。そんなときに役立つのがPoEに対応しているネットワークルータです。ここでは、Cisco社のネットワークルータのうち、PoEに対応しているCisco ISR 2800 シリーズについて紹介していきます。

■紹介する製品一覧

製品名 カテゴリ 訴求ポイント
CISCO2811-AC-IP ネットワークルータ PoE対応
CISCO2821-AC-IP ネットワークルータ PoE対応
EVMスロットあり
CISCO2851-AC-IP ネットワークルータ PoE対応
NMEスロットで拡張倍幅をサポート

PoEに対応する中古ネットワークルータの種類は少ない

PoEとはネットワークルータが使用する電気をLANケーブルから取る仕組みのことを指します。LANケーブルがデータの送受信だけでなく給電も行うため、コンセントから電気を取る必要はありません。そのため、場所的にコンセントにつなぐのが難しいようなところにネットワークルータを設置したいときに、PoE対応の機種を使用すると便利です。

PoEなら、LANケーブルだけで済むため配線がスッキリするのも1つのメリットです。しかし、PoE対応のネットワークルータは、種類があまり豊富なわけではありません。一部の機種でPoEに対応しているだけで、大半の機種はコンセントから電気を取るように作られています。そのため、PoE対応のネットワークルータを探してもなかなか手頃な機種が見つからないことも少なくありません。

また、業務用のネットワークルータは高価であるため、新品ではなく中古のネットワークルータを探している企業も多いでしょう。用途によっては、中古の少し古い機種であっても、普段の使用で不便することはありません。そこで、今回ご紹介するのは、Cisco ISR 2800 シリーズです。PoEの対応以外に関しても機能やスペックに関して見ていきましょう。

PoE給電に対応したCisco ISR 2800 シリーズ

電源

Cisco ISR 2800 シリーズは、いずれもLANケーブルを接続できるポートは2つあります。このポートにLANケーブルを差し込むことで、電気も供給される仕組みです。通常のLANポートであれば、電気を供給することはできませんが、Cisco ISR 2800 シリーズのLANポートは電源をバンドルしています。

バンドルというのは、別の製品を組み合わせることです。つまり、LANポートと電源を組み合わせています。いずれもバンドルしている電源はAC電源で、カテゴリ5e以上のLANケーブルを使用することで給電可能です。

カテゴリ5以下のLANケーブルでは給電できないため注意しましょう。また、通信速度を確保するには、カテゴリ5eよりも6eや7などのLANケーブルを使用するのが望ましいです。

Cisco ISR 2800 シリーズには拡張スロットが付いています。3機種で拡張スロットの種類は異なりますが、拡張スロットを使うことで、機能の追加などが可能です。拡張スロットの数と種類が多ければ、それだけ汎用性が高いということになります。

■紹介する製品の性能表

製品名 ポート数 スロット数
CISCO2811-AC-IP 2ポート 10スロット
CISCO2821-AC-IP 2ポート 11スロット
CISCO2851-AC-IP 2ポート 11スロット

製品紹介:CISCO2811-AC-IP

CISCO2811-AC-IPは、筐体の大きさが他の2機種と比べると小さめです。幅と奥行きは他の2機種とほぼ同じですが、高さが低く、やや平べったい形状をしています。重さも他の2機種と比べて軽いのが特徴です。ポート数は2つあり、PoEに対応している点は他の2機種と共通しています。

拡張スロット数は全部で10スロットですが、その内訳はHWIC が 4 スロット、NME が 1 スロット、AIM が 2 スロット、PVDM が 3 スロットです。HWIC スロットと NME スロットを使用すると、イーサネットスイッチモジュールをはじめとして、さまざまな機能を拡張することができます。HWIC スロットとNME スロットが合わせて5スロットあるため、ポートの数も十分でしょう。

AIMスロットは、VPN/SSL モジュールを搭載できて、これによりハードウェア暗号化アクセラレーションを強化することもできます。セキュリティ面を重視したい場合に便利です。PVDM スロットは音声関係の機能を強化したい場合に使用します。

また、CISCO2811-AC-IPは定価が30万円強です。やや高めの金額ですが、ここで紹介する3機種の中ではもっとも安価なので、Cisco社のルータを初めて導入する企業におすすめできるでしょう。中古の場合には6万円弱で購入でき、新品と比べるとかなりリーズナブルです。

購入するのではなくレンタルで利用する方法もあります。機種選びで迷っている場合には、レンタルで少し使ってみてから、購入するネットワークルータを決めるのも良いでしょう。

■CISCO2811-AC-IP 製品情報まとめ

  1. 筐体が小ぶりで軽い
  2. PoE対応電源バンドルを搭載
  3. 3機種の中では最も安価

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CISCO2811-AC-IPのレンタルはこちら

製品紹介:CISCO2821-AC-IP

CISCO2821-AC-IPは、筐体の幅と奥行きはCISCO2811-AC-IPと同じくらいの大きさですが、高さが2倍くらいです。重さも11.40キロとやや重めです。そして、PoE 対応電源バンドルを搭載しています。

ポート数はCISCO2811-AC-IPと同じ2ポートですが、拡張スロットはさらに多く備わっています。
具体的にはHWIC が 4 スロットとNME が 1 スロット、EVM が 1 スロット、AIM が 2 スロット、PVDM が 3 スロットです。このうちCISCO2811-AC-IPには無いのがEVMスロットです。EVMスロットを使用する機能を追加したい場合には、CISCO2821-AC-IPを選ぶと良いでしょう。

価格に関しては、定価だと50万円強です。値段も機能もCISCO2811-AC-IPよりワンランク上といった位置づけでしょう。また、中古なら8万円前後で購入できます。
他にレンタルも可能であるため、中古での購入やレンタルも視野に入れて検討してみると良いでしょう。

■CISCO2821-AC-IP 製品情報まとめ

  1. 筐体がやや大きめ
  2. PoE 対応電源バンドルを搭載
  3. CISCO2811-AC-IPよりワンランク上のスペック

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製品紹介:CISCO2851-AC-IP

CISCO2851-AC-IPは、筐体の大きさと重さはCISCO2821-AC-IPとほぼ同じです。見た目もCISCO2821-AC-IPとほとんど変わりません。

ポート数は2つで、PoE 対応電源バンドルを搭載しています。スロットはHWIC が 4 スロットでNME が 1 スロット、EVM が 1 スロット、AIM が 2 スロット、PVDM が 3 スロットの合計11スロットです。そして、NMEスロットは拡張倍幅(NME-XD)をサポートしています。

新品での定価は約85万円で、ここで紹介しているネットワークルータの中でもっとも高額で、スペックも高めです。
また、中古の場合には10万円程度で購入できます。PoEに対応しており、スペックが高めのネットワークルータを設置したいのであれば、中古での購入を検討してみると良いでしょう。

■CISCO2851-AC-IP 製品情報まとめ

  1. 筐体はやや大きめでCISCO2821-AC-IPとよく似ている
  2. PoE 対応電源バンドルを搭載
  3. 拡張倍幅(NME-XD)をサポートするNMEスロットがあり
  4. 3機種の中で最も高価でハイスペック

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PoE対応のネットワークルータは中古での購入がおすすめ

Cisco ISR 2800 シリーズは、PoEに対応している珍しいタイプのネットワークルータです。コンセントが近くにない場所でも、新たにコンセントの設置工事をせずに、ネットワークルータを設置できます。
ここで紹介した3機種はそれぞれ拡張スロットが異なるため、追加したい機能を考慮して購入する機種を決めると良いでしょう。

ここがポイント

  • PoE対応のネットワークルータならコンセント不要
  • 拡張スロットを利用してネットワークルータにさまざまな機能を追加できる
  • 新品のPoE対応のネットワークルータは値段がかなり高い

PoE対応のネットワークルータを導入する際には、新品だけでなく中古での購入も併せて検討してみてください。新品は高価でも、中古ならかなりリーズナブルな値段で購入できます。